男性の薄毛・抜け毛の原因は?髪が生える基礎知識とセルフチェック法

薄毛がすごい…抜け毛がひどい…原因もわからない…」

今この記事に辿り着いたあなたは、このようにお悩み中かと思います。

薄毛や抜け毛には様々な原因がありますが、男性の場合は前頭部や頭頂部(つむじ)が薄くなる「AGA(男性型脱毛症)」が原因であるケースが多いです。

この他、栄養が偏った食べ物・不健康な生活習慣(過度のアルコールやコーヒーの飲みすぎ)・睡眠不足・ストレスなども薄毛や抜け毛の原因として挙げられます。

まずはこの記事を読んで薄毛や抜け毛の原因を知り、セルフチェックと適切な対策法を知りましょう。

つちやファミリークリニック 副院長
土屋 佳奈 先生

東京医科大学医学部医学科卒業。東京女子医科大学病院で研修後、皮膚科学教室に入局。東京女子医大病院、JR東京総合病院勤務を経て、都内の美容クリニック、皮膚科クリニックに勤務。現在はつちやファミリークリニックにて、副院長として皮膚科診療に従事。

男性の4人に1人が薄毛を自覚している

「薄毛である」と回答した男性は26.5%。日本人男性の4人に1人が薄毛に悩んでいる。 リクルートライフスタイルの「2019年薄毛調査報告書」によると、薄毛を自覚している男性は全体の約25%というデータが報告されています。

薄毛が気になりだした男性は平均で38.2歳、気になりだしたきっかけは「鏡を見ていた時」が特に多いようです。

そして、実際に「薄毛」という悩みを、同じ悩みを持っている人と分かち合っているのは全体のたった2割。

薄毛や抜け毛の原因がわからない、しかも誰にも相談できずに1人で悩みを抱えている男性が多いのが現状です

もしかして、あなたも薄毛や抜け毛の悩みを1人で抱えていませんか?

男性の薄毛の多くは「AGA」が原因

男性の薄毛の多くは、「AGA(男性型脱毛症 / 壮年性脱毛症)」が原因と言われています。

AGAは20代~30代にかけて発症し、40代や50代と年齢が高くなるにつれて症状が進行、患者数自体も増加します。

男性の薄毛の原因がAGAである場合、一般的に薄毛のタイプは以下の3つに分類されます。 AGA(男性型脱毛症)による薄毛の3タイプ:M字、U字、O字

M字前頭部の前髪の生え際の両端から、ローマ字の”M”のように薄毛が進行していく。
U字前頭部の前髪の生え際の真ん中部分を中心に、ローマ字の“U”のように薄毛が進行していく
O字頭頂部のつむじ部分から、ローマ字の“O”のように薄毛が進行していく

※この表は横にスクロール可能です。

 

男性の薄毛の原因がAGAの場合、側頭部や後頭部の襟足周辺の髪は薄くなりません。

 M字・U字・O字は一般的なAGAによる薄毛の分類ですが、「ハミルトン・ノーウッド分類」や「高島分類」と呼ばれる、AGA治療法を検討するための指標があります。

「ハミルトン・ノーウッド分類」はアメリカの皮膚科医ハミルトン氏が作ったAGAの進行パターンを、同じ皮膚科医のノーウッド氏が改良した指標です。

そして「高島分類」は、日本人皮膚科医の高島厳氏による薄毛の進行パターンの指標です。

日本人は頭頂部から薄毛が始まるケースが多いため、「ハミルトン・ノーウッド分類」と「高島分類」の複合モデルでAGAによる薄毛の分類を行います。 ハミルトン・ノーウッド分類と高島分類の複合モデル図

医師が完成させた専門的な薄毛進行パターンについて、詳しくは「あなたの生え際はどの形?薄毛タイプから見る初期治療のススメ」をご覧ください。

男性ホルモンの一種「テストステロン」がヘアサイクルの乱れを引き起こす

男性の多くの薄毛原因となる「AGA(男性型脱毛症/壮年性脱毛症)」は、男性ホルモンの一種「テストステロン」によって、ヘアサイクルの乱れを引き起こすと言われています。

男性ホルモン(テストステロン)の解説をする前に、まずは通常の健康的なヘアサイクルについて知っておきましょう。

ヘアサイクル(毛周期)とは、一定の期間内に毛が「生えて→抜けて」と繰り返す流れのことを指します。 ヘアサイクル(毛周期)のイメージ図

成長初期毛母細胞が分裂を開始し、新しい毛を作る時期
成長期毛が栄養を摂り込んで成長する時期
退行期毛の成長が止まり、毛穴から抜け落ちる時期
休止期次の毛が生えるまでの準備期間

※この表は横にスクロール可能です。

 

髪の毛は体毛の中でも特に長いヘアサイクルで、日本皮膚科学会の「皮膚科Q&A」によると、1本の髪の毛が生まれて抜け落ちるまで2~6年間とされています

例えば、髪の毛は数十センチ伸びますが、胸毛などの体毛は数センチで抜け落ちますよね。

これは、それぞれの体毛のヘアサイクルの期間が異なるためです。

次に、体毛と男性ホルモンの関係について。

男性特有の体毛である「ひげ」や「胸毛」は、男性ホルモンによって成長が促されて太く硬く(濃く)成長します。

一方、頭頂部・前頭部の髪の毛(毛包)は、男性ホルモンと酵素の結合したものがその部位にたくさんある受容体に作用することで、毛が細く・柔らかくなってしまいます(≒成長が抑えられる)。 テストステロンと5αリダクターゼⅡ型が髪の毛の成長を抑制する仕組みのイメージ図

頭頂部や前頭部の毛乳頭細胞に男性ホルモンの一種「テストステロン」が運ばれると、男性ホルモンを活性化させる酵素「5αリダクターゼⅡ型」が働きます。

「テストステロン」と「5αリダクターゼⅡ型」が毛乳頭内で組み合わさると、更に活性した「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変換されます。

このDHTが毛乳頭細胞にある「アンドロゲン受容体(レセプター)」と結合して作用し、数年かけて成長するはずの頭頂部や前頭部の髪の毛のヘアサイクルが乱れ、通常よりも成長期が短くなってしまいます。 正常なヘアサイクルとAGA(男性型脱毛症)の場合のヘアサイクルの比較図

ヘアサイクルの「成長期」が短くなると、髪の毛が成長しきれずに細く短くなり、「休止期」にとどまる髪が増え、薄毛になってしまうのです。

そしてAGAは年齢を重ねるごとに進行するため、最終的には頭頂部や前頭部の髪の毛が生えなくなってしまいます。

薄毛は遺伝するのか?

多くの男性の薄毛原因となる「AGA(男性型脱毛症)」は、複数の遺伝的な要因が絡んでいると言われています。

だからこそ、同じ男性でも薄毛になりやすい人と、なりにくい人がいるのです。

先ほど「男性ホルモン」の部分で紹介した、「5αリダクターゼⅡ型が分泌される量」や「アンドロゲンレセプターの感受性」は、個人の体質によるものです。

特にこれらの遺伝子は母親から受け継がれる性染色体のX染色体によって受け継がれるため、特に母方の遺伝子影響を受けやすいと言われています。

実際、1948年には米国の研究者ハミルトンが、男性型脱毛症と遺伝との関係性を突き止めています。

ハミルトンの研究では、若くして去勢された男性に男性ホルモンの一種「テストステロン」を投与すると、家系にハゲる傾向が多い人には頻繁に男性型脱毛症を発症すると発表されています。

AGAによる薄毛の遺伝について、詳しくは「なぜハゲる人とハゲない人が居るのか?」をご覧ください。

薄毛や抜け毛の原因は他にもある

毛根の断面イメージ図

男性の薄毛や抜け毛はAGA(男性型脱毛症)の他にも、いくつかの原因が挙げられます。

これからAGAの他に考えられる薄毛や抜け毛の原因を紹介しますが、主に「血流の悪化」や「頭皮環境の悪化」が元凶です

血流や頭皮環境が悪化すると、生えてくる髪の毛が細く抜けやすい状態になります。

特に「側頭部の髪が薄い」「全体的に髪が薄い」男性は、これから紹介する項目が、薄毛や抜け毛の原因になっているかもしれません。

動物性脂肪の多い食べ物

脂肪の多い肉のイメージ画像

動物性脂肪の多い高カロリーな食べ物や、インスタント食品などを多く取り入れすぎると、薄毛や抜け毛の原因になります。

動物性脂肪の高い高カロリーな食べ物とは、肉類・ラード・乳製品が多い食事や、バターや乳脂肪を多く含むケーキ・チョコレート・アイスクリームなどです。

これらを摂取しすぎることで、血液中のコレステロールが増加します。

血液中のコレステロール増加による薄毛や抜け毛の原因
①血液中のコレステロールが増加
 ▼
②血液がドロドロになり、血流が悪くなる
 ▼
③毛髪の成長に必要な栄養素(たんぱく質・ミネラル・ビタミン類など)が毛乳頭に行き届きにくくなる
 ▼
④髪の毛の成長が妨げられる
 ▼
⑤細く抜けやすい髪の毛が生えやすくなる

 

また、ビタミンB群の不足は、大量のフケが発生して毛髪が薄くなる粃糠(ひこう)性脱毛症の原因にもなると言われています。

特に外食が多い男性やインスタント食品が多い男性は、気づかない間に栄養バランスが偏っていることが考えられます。

動物性脂肪の多い食べ物ではなく、髪に必要な栄養素を豊富に含んだ食べ物を積極的に取り入れましょう

髪の毛に必要な栄養素について、詳しくは「髪の毛に必要な栄養素「アミノ酸・亜鉛・ビタミン」の役割」ページをご覧ください。

過度のアルコールや喫煙などの生活習慣

タバコの吸い殻が入った灰皿とウイスキーグラス

過度のアルコール・喫煙・運動不足などの不健康な生活習慣も、薄毛や抜け毛の原因になります。

不健康な生活習慣によって血流や頭皮環境が悪化すると、髪の成長が妨げられ、髪に必要な栄養素が不足しがちになります。

喫煙は百害あって一利なしですが、アルコールは「過度」が問題で、適量であれば頭皮に良い場合もあります。

アルコールや喫煙と薄毛や抜け毛の関係について、詳しくは「お酒とタバコは薄毛や抜け毛にどのような影響を与える?」をご覧ください。

睡眠不足や睡眠の質の低下

仕事の合間に寝落ちしてしまう男性

睡眠不足も、薄毛や抜け毛の原因となりやすいです。

髪の毛や頭皮の代謝活性・修復は「成長ホルモン」が作用しますが、成長ホルモンは睡眠から3時間前後が経過した頃に分泌され始めます。

睡眠不足が原因で成長ホルモンの分泌が十分に行われないと、頭皮環境の修復に間に合わず、頭皮環境の悪化につながります。

特に過度のコーヒーや過度のアルコールは、睡眠の質の低下につながり、成長ホルモンの分泌にも影響します。

不規則な生活習慣を改善し、良質な睡眠をたっぷりとることで、薄毛や抜け毛の改善につながります。

睡眠の質をアップする秘訣について、詳しくは「睡眠前にするべきことは?睡眠の質をアップする方法」をご覧ください。

過剰なストレス

背後から迫る過剰なストレスに頭を抱える男性

過剰なストレスも、薄毛や抜け毛の原因になりやすいです。

過度なストレスの影響で自律神経がホルモンバランスを乱し、血管の収縮が影響して血流が低下し、頭皮環境が悪化させることが考えられます。

過度のストレスは、頭皮の一部分の毛がゴソっと抜ける「円形脱毛症」などを引き起こす可能性もあります。

この他、過度なストレスは、AGA(男性型脱毛症)を進行させる原因にもなります。

ストレスと薄毛の関係について、詳しくは「ストレスによる交感神経・副交感神経の乱れが薄毛の原因?」をご覧ください。

こんな抜け毛に要注意!薄毛の兆候をチェック

ここまで、薄毛や抜け毛の原因について解説してきました。

では、具体的にどのような兆候があれば、薄毛や抜け毛と言えるのでしょうか?

「薄毛かもしれない…」と悩んでいても、実は正常な範囲内ということも考えられます。

まずは薄毛や抜け毛の兆候を知っておきましょう。

1日に100本以上髪の毛が抜ける

1日100本以上の髪の毛が抜けている場合は、頭皮や毛髪に何らかのダメージを受けている可能性があると言えます。

以下の写真は、髪の毛の本数を可視化したものなので、参考にしてください。 本数別の抜け毛の量のイメージ画像(10本~100本)

日本人の成人の髪の毛量は平均10万本前後、1日に50~100本は自然に抜け落ちると言われています。

上記のイメージの範囲内であれば、正常と思って良いでしょう。

ただ、季節によっても抜け毛の本数は変動します。

特に秋は抜け毛の本数が100本以上(200~300本)でも正常の範囲と言われており、はっきりした原因は解明されていないものの、「人間の遺伝子情報」や「夏の紫外線によるダメージ」などが挙げられます。

抜け毛の本数や原因について、もっと詳しく知りたい方は「季節のせい?抜け毛が止まらないときに考えられる原因と対策」の記事も合わせてご覧ください。

髪の毛が細くて短い

生えている髪の毛や抜けた髪の毛が「細くて短い」場合は、成長が途中で止まって抜けてしまった可能性があります。

以下は通常の毛と細くなった毛の比較画像なので、参考にしてください。 しっかりと太い髪の毛と、細くて産毛のような髪の毛の比較イメージ

髪の毛が細く短くなるのは、様々な原因が考えられます。

AGAの可能性があるのかそれとも他の原因なのか、もう一度この記事を読み返して原因を考えてみましょう。

抜け毛の毛根や形が変

手に絡まった抜け毛

抜け毛の毛根や形が変であれば、頭皮環境や髪に何らかのダメージが原因と考えられます。

正常な毛根は、形が丸く毛根の根元が少し白っぽいです。

逆に、毛根の丸みが少ない(細い)、毛根が真っ黒、毛根の上まで白いものは、何かしらの異常が考えられます。

以下は正常な毛根と、異常な毛根の比較画像なので、参考にしてください。 正常な抜け毛の毛根と、異常が疑われる抜け毛の毛根の比較イメージ

まずは自然に抜け落ちた髪の毛の毛根の形や色を、チェックしてみましょう。

頭皮を触るとフケがつく

手で頭皮を触る女性のイメージ画像

頭皮を触るとフケが手につく場合、頭皮環境の悪化が考えられます

異常なフケは脂性と乾性の2種類に分類され、それぞれ特徴や原因が異なります。

脂性フケ
湿ってベトベトしていて、比較的大きな塊なのが特徴。 頭皮の皮脂の過剰分泌による常在菌の過剰増殖や、シャンプー不足(すすぎ不足)が考えられる。

 

乾性フケ
乾燥してカサカサしていて、白くて細かいのが特徴。 頭皮の乾燥や、シャンプーのしすぎが考えられる。

 

かゆみを伴う場合は頭皮が炎症を起こしている可能性があるため、皮膚科などの受診が必要なケースもあります。

フケが毛穴を塞いでしまうことで、頭皮の血行が悪くなり、抜け毛の原因に…。

また、頭皮環境の悪化によるフケではなく、粃糠(ひこう)性脱毛症によるフケの可能性も否定はできません。

フケは頭皮の角質が古くなって剥がれ落ちたもので、誰にでもありますが、正常であれば目立つことはありません

フケの種類や改善方法について、詳しくは「あなたのフケの種類はどれ?原因を知り、改善を目指そう!」をご覧ください。

薄毛や抜け毛のケアには適切な対策を

薄毛や抜け毛の対策は、あなたの症状にあわせて取り入れていくことが大切です。

生活習慣の改善やAGA治療で薄毛・抜け毛の進行を抑えるだけでなく、薄毛が目立たないような工夫を取ることも考えてみましょう。

生活習慣の改善やAGA治療をしていても、どうしても気になるのが「他人から見られた今の自分の薄毛(髪型)」ではないでしょうか?

薄毛でお悩みの男性でも、ヘアカットの工夫をすれば印象を変えられます◎ 

例えば、こちらの男性は頭頂部の透け感が目立っていましたが… ヘアカット・ヘアセットによって薄毛をカモフラージュした男性(セット前・セット後)

髪質を考慮したヘアカットやヘアセットに工夫するだけで、頭頂部の薄毛が気にならなくなりました。

 このように、ヘアカットに工夫をするだけで、今すぐ薄毛を目立たせなくすることはできます。

薄毛の目立たない髪型への一工夫は、「薄毛の方でもカット次第でイケてる髪型に!これだけ変わるビフォーアフター6」で詳しく解説しているので参考にしてください。

参考文献
株式会社リクルートライフスタイル「2019年薄毛調査報告書
家庭の医学大全科「壮年性脱毛症
家庭の医学大全科「粃糠性脱毛症
家庭の医学大全科「脂漏性皮膚炎
Dクリニック福岡「【クリニック監修】ハゲは遺伝する!迷信じゃなかった、ハゲが遺伝するワケ
小友進「毛髪再生とアンチエイジング
安達健二「男性型脱毛――その特性と未来像
美髪講座「女性の薄毛・抜け毛に効く『睡眠の質』をよくする4つのポイント
カズ博多クリニック「【専門医が解説】抜け毛が多いと感じたらチェックする3つのポイント
第一三共ヘルスケア「ふけ・頭のかゆみの原因
バイオテック「フケが多いと抜け毛になる!?原因と対策情報
医療法人昴会 野村医院「薄毛と睡眠不足の関係
カミキリベヤ「マイクロスコープ~毛根編~
公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 脱毛症Q1
公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科Q&A  脱毛症Q4
ウェザーニュース「なぜ秋になると抜け毛が増えるのか?
後藤外科医院「血液さらさら検査
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